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Jリーグを盛り上げる実況・能政夕介 インタビュー

Kai Kadomatsu

2017/09/26 08:00

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——実況には何が正しいというものはないと思いますが、良い実況をする際に気にかけているものはありますか?

(能政)僕もまだまだ未熟なので今も模索中なんですが、心掛けているのは選手の背景の情報も大前提と考えていて、一番大切だと考えているのはリアル感をどう伝えていくのかという事です。うんちくや知識も大切なんですが、それを基にして、目の前で行われているシュートやディフェンス、攻守の移り変わりをどれだけ臨場感を持って伝えられるかを大切にしていきたいと考えています。

——能政さん自身が実況を聴いていてどなたの実況を魅力的に感じられますか?

(能政)そうですね・・・スタイルがだいぶ違いますが、倉敷さんはすごいと思います。あの方は知識もすごくありますし、サッカーが好きなのも分かるし、表現も独特なものがあります。それは倉敷さんだからこそ説得力を持たせられるのですごいと思います。 それに、今教えてもらっている寺西さんはすごくバランスの良い実況をする方だなと思っています。バックボーンとなる知識もそうですが、その試合をとても重視していること、そして解説の方とのやり取りがとても上手だと思っています。今の試合に必要なことを視聴者目線でどういう風にしたらうまく伝わるかを考えながら実況しているので、目立つアナウンサーではないんですが、聞いていて違和感がない、試合に集中できるのでお手本としていかなければいけないなと感じます。

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——私のイメージだと、フリーアナウンサーというのは局アナをしていて、その後フリーとして働くものだと考えていたので、能政さんの経歴を知ってとても驚きました。

(能政)僕も楽天を辞める時は上司に反対されました。当時は先ほども言ったように、起業する内容も具体例がありませんでしたし「上手くいくはずがないよ」と言われました。それに、アナウンサーになると言った際も周りの人は応援はしてくれていましたが、やっぱり上手くいくはずがないと思われていたでしょうね。でも、僕はその状態から実際にやれるようになりましたし、人間本当にやりたいことをやろうという気持ちがあればできるという事を他の人にももっと知ってもらいたいです。僕がアナウンサーとしての実績を残していくことがそんな役割だと感じていますし、あいつだからできたというのじゃなくて、ゼロからやったあいつでもできたんだから俺でもできると感じてもらって、チャレンジをし始めることができる人が一人でも増えたらいいなと思います。でも、本当にしんどかったですよ(笑)R-1の予選とか出てましたもん。

——最初の仕事ってなんだったんですか?

(能政)先輩の結婚式の司会でしたね。ありがたいことに、僕が本当にこれをやりたいって言ったら応援をしてくれる人は多かったですし、昔は恥ずかしかったり、気を使ってしまうタイプの人間だったんで、やりたいことを言うことは少なかったですけど、やりたいことをちゃんと宣言することはとても大切だと身にしみて感じました。

——そのチームの実況をすることが決まったなら、その前の試合とかは確認されるんですか?

(能政)そりゃ、めっちゃしますよ(笑)例えば、100個ぐらい言う事を準備していっても実際には5や10ぐらいしか言えないので、その母数をどれだけ増やしていくことができるかが大切ですね。

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——では、家に居る際や移動中の際もDAZNでサッカーは見ているんですか?

(能政)結構見てますね。DAZNであったり、移動中ではYouTubeでその日のハイライトを見ていたり、選手名鑑とかで何とかして情報を仕入れていますね。 それにしても、情報を仕入れても実際に言うとなったら難しいですね。間違って言ってしまったりしますし。

——実況の仕事がある際のスケジュールはどうなっているんですか?

(能政)この前の15時キックオフの試合ですと、だいたい10時くらいにはスタジアムに入って全体の打ち合わせをして、解説者・監督との顔合わせをして、又打ち合わせをして、その後は時間があるので、自分の中で情報をまとめてリポーターさんとも話の振り方とかを合わせて準備をしまふ。そして、試合の1時間前ぐらいには放送席でリハーサルをして、解説者の方と雑談をしながら放送を待っているという感じですね。

——話す仕事をしているので喉のケアは日ごろからしているんですか?

(能政)そうですね。いつもマスクはしていますし、お酒はあんまし飲みません。それに、僕みたいなフリーはいつ仕事が来ても問題がないようにコンディションを整えておかなければいけないなとは思っているので、そこらへんはいつも意識しています。あと、運動をしています。普段とかでランニングなどで体を動かします。車の運転中に声を出して実況の練習をするという事もしていますね。

——能政さんは自分がこうなりたいというよりは、モットーである自分が話すことによって周りを幸せにするという事をライフスタイルとしてこれからもやっていかれたいのですか?

(能政)自分のなかでは軸が二つあって、一つは、自分の喋りや生き方・あり方を皆さんに見てもらってやる気とか勇気を与えていってアナウンサーとして成果を出していくという事。もう一つは、やはり話すことが楽しい人を増やしていくことが僕の会社のミッションでもあって、僕は話すことはすごく価値のある事だと思っているんですが、今の世の中には自分のやりたいことを伝えられることが出来る人はすごく少ないと思うんです。それは言うことが恥ずかしかったり、言い方を知らなかったり、そもそも持っていなかったりということだと思います。ですけど、実際自分の中にはちゃんとやりたいことを持っていると思うんです。そういう人たちに話してコミュニケーションをとることはこんなにも楽しいんだよと伝えていくこと自体が僕の中では一生やっていきたいです。だから、自分が話していて楽しいだけじゃなくて、それを聴いた人が楽しいと思ってそれを周りの人たちにどんどん伝えていくことが広がってくれたら僕はそれでいいんですよね。世の中を良くしたいっていう大きな事ではなくて、日々の喋っていて楽しいなという言葉の時間を知ってくれる人が一人でも増えていくきっかけになることがとてもいいなと思います。

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