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レアル・マドリー 3-0 アトレティコ・マドリー 4-4-2の泣き所とイスコが促すボール保持

ぱこぱこ・へめす

2017/05/06 10:01

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2013/14シーズンと2015/16シーズンにチャンピオンズリーグ決勝で顔を合わせたマドリーの2クラブが、今シーズンも欧州の舞台で戦うこととなった。決勝での2試合はレアル・マドリーが勝利を収め優勝を果たしているが、今回は準決勝で180分で勝負が決するという点で異なる。リーグ戦では比較的放任であるのに対してチャンピオンズリーグではしっかりと準備をするレアル・マドリーの指揮官であるジダンだが、アトレティコ・マドリーはどのような対応をするのかシメオネの采配が注目である。

昨シーズンは解任されたラファ・ベニテスの後を継ぎ、マネージャーに就任したジダン。リーグ優勝はバルセロナに譲ったもののチャンピオンズリーグを制覇し次第点だったと言える。ただ今シーズンは初めて開始から指揮を執ることとなり真の実力を試されている状況だ。BBCに絶対的な信用を見せながらも彼らを途中交代できるのは潔くチームマネジメント的にもうまくいっているのだろう。MSNの代えが利かないバルセロナに対して、モラタやルーカス・バスケスなどの下部組織出身者やアセンシオなどの若手を成長させチームに組み入れられている点では好ましい。

準々決勝では、レアル・マドリーはバイエルンを下した。ジダンにとって指揮官としての最大の師であるアンチェロッティを相手に勝利を収めたことは、彼にとっても自信になっただろう。ファーストレグとセカンドレグでバイエルンは退場者を出してしまい議論となったが、マドリーとしてはエル・クラシコでセルヒオ・ラモスが退場となりバルセロナに敗れたことで相殺といったところである。ただバイエルンとしてはフィリップ・ラームとシャビ・アロンソに有終の美を飾らせることができず、さらに調子を落として国内カップ戦でもドルトムントに敗れて準決勝敗退となっている。

一方のアトレティコ・マドリーは、レスターにきっちりと勝利を収めた。2年弱に渡るミラクルレスターに終止符が打たれたわけだが、より熟練した4-4-2であることを証明していた。

スターティングメンバー


by formation-y.com

レアル・マドリーはベイルの負傷によりイスコがスターティングメンバーに入っており、通常の4-3-3ではなく2トップとイスコのフリーロールという形で挑んだ。一方のアトレティコ・マドリーは、いつも通り4-4-2の布陣を敷いているものの右サイドバックのフアンフランなどを負傷で欠いている。

4-4-2の泣き所2トップ脇とインサイドハーフ落とし

立ち上がりの5分程はアトレティコがハイプレッシングにより高い位置でプレーをしていた。しかしレアル・マドリーはイスコを1列下げた4-4-2の形でブロックを組み、徐々にプレッシングを回避してボール保持を高めていった。

4-4-2のプレッシングにおいてウィークポイントとなるのがサイドチェンジと2トップの両脇である。前者は4枚の鎖では横幅を完全にカバーするのが困難だということであり、後者は陣形を見れば一目瞭然だが2トップは基本的に中央のパスコースを切るために中央に留まらなければならないため両脇が空いてしまう。

“インサイドハーフ落とし”とは、アンチェロッティが率いていた頃から使われているビルドアップのやり方である。サイドバックが高い位置を取って空けたスペースに、インサイドハーフ(モドリッチとクロース)が降りてきてボールを引き受け、ボールを前進させる。このメリットは、サイドバックが高い位置を取り横幅の役割を担うのでウイングが横幅の役割から解放されて“ハーフスペース”にポジショニングできることと、ポジションチェンジにより相手の守備の基準点をずらし解決しなければならない課題を与えられることである。

ビルドアップでは他に、ディフェンシブハーフ落としなどの形があるが、これはディフェンシブハーフ(例えばバルセロナのブスケツ)がDFラインに落ちることでDFラインでの数的優位を作ったり、相手フォワードの両脇のスペースに対してセンターバックが“運ぶドリブル”によってボールを前進することが目的である。

“インサイドハーフ落とし”についてウイングが中に入ってきて“ハーフスペース”にポジショニングできると先ほど書いたが、これは通常の4-3-3での話である。アトレティコが積極的なプレッシングを行う場合、高い位置を取るサイドバックに対してはサイドハーフが付いていき落ちるインサイドハーフに対してはセンターハーフが前に出ることで対処していた。それに対応して逆サイドのセンターハーフとサイドハーフはスライドして中盤のスペースを埋める。なお、待ち構える守備の時は少し異なる。

レアル・マドリーのボール保持を支えたイスコのフリーロール

この試合のレアル・マドリーは4-3-1-2であり、トップ下のイスコがフリーロールだった。これによってアトレティコは“インサイドハーフ落とし”に対応できず2トップ脇のスペースを自由に使われてしまうこととなる。

普通レアル・マドリーは3トップでありアトレティコはこれを4バックで見ていたが、今回は2トップを4バックで見ることとなり、前線での数的不利を生み出してしまった。サイドバックが相手のサイドバックを見ることも可能だが、距離が遠い上に2トップを2センターバックで対応させてしまうために行われなかった。つまり、サイドバックに対してアトレティコは通常通りサイドハーフで対応した。

そして問題となるのが中盤での数的優位性である。アトレティコが2センターハーフであるのに対し、レアル・マドリーは4枚の選手を揃えていた。ディフェンシブハーフのカゼミロを2トップが見るとしても2対3の状況である。アトレティコは中盤のスペースを埋めるためにセンターハーフが前に出られず、レアル・マドリーがボールを保持する展開となった。

なお、地味に重要なのがディフェンシブハーフのカゼミロで、1列目と2列目のライン間の中央にポジショニングを取り続けることで2トップはパスコースを切るために中央を閉じなければならず、両脇が空きやすくなる。

イスコについて中盤での数的優位に貢献していると述べたが、もう少し詳しく見ていこう。ゾーンディフェンスとは、相手がポジションチェンジしようが自分のゾーンの中にいる相手をマークするというのが基本的な考え方である。しかし数的不利で自分のゾーンに2人いる場合、判断を強いられる(解決しなければならない課題がある)ことになる。イスコが遂行していたタスクは、ピッチの様々な場所に降りてオーバーロードを生み出し相手の守備の基準点をずらすことであった。

次ページ:アトレティコ・マドリーの歴史を覆す試合展開

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