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サッカーファン必見の新企画・NHK BS1 102ch「徹底マーク!ゴールキーパー!」視聴記

扇ガ谷 道房

2017/04/17 18:48

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NEWS

サッカーがテレビ放映される場合、メインスタンドの上部からピッチを見降ろしたアングルの画面が一般的です。
長方形のピッチの長手方向からのカメラアングルで、左右に両チームの選手が配置されて相手ゴールを目指してプレイしている画像です。
この固定アングルとは一線を画した新たなアングルからサッカーのゲームを放映する試みが行われました。

それは4月16日のJ1浦和レッズ対FC東京戦で”BS1 ch102企画”としてNHK BS1 102chで放映されました。
専用カメラの映像やトラッキングデータによるプレー分析などによって、サッカーの面白さを様々な角度から伝える事を目的に企画された、新たなサッカー放映方式でした。

初の企画は「徹底マーク!ゴールキーパー」として、ゴールキーパー(以降、GKと記載)目線による生のサッカーゲームが放映されました。ご覧になれなかった方の為に、その視聴記をお伝え致します。

GKだけにスポットを当てた専用チャンネル

  
今回の浦和レッズ対FC東京戦は、101chで通常の中継を行い、102chをGK専用チャンネルとして放映されるという、画期的なJリーグ中継スタイルになりました。
101chは通常放送なので、メインスタンドから俯瞰したカメラ映像が中心とした見慣れた映像に、早野宏史さんによる解説という通常の中継放送が行われました。
  
一方102chはGK専用チャンネルとして画面が4分割されている今までになかった形で、元日本代表の小島伸幸さん(以降、小島さんと記載)と元オリンピック代表監督の山本昌邦さんという解説で行われました。
  
筆者は101chと102chを適宜切り替えながら、この一戦と初の試みであるGK専用チャンネルを視聴してみました。
とても画期的で有意義な放送だったというのが、率直な印象です。
    

by stereosound

4分割画面という見慣れない画像

さて102chの事に限定して話を進めます。先ず画期的な事は、GKに特化した4分割画面でした。
画面が上下左右に4分割されて、上段がやや大き目、下段がやや小さめのサイズで、それぞれの画面には全く違う映像が同時に放映されました。
  
上部左側は大きめな画像でGKの背後からの画像が配置されて、上部右側はやや小さめなサイズでGKを正面からとらえた画像。
下部左側に全選手のトラッキングデータ、下部右下に視聴者からのコメントや数値データが表示されました。
  
サッカーゲームのテレビ放映は、ピッチをメインスタンドから見た画面に慣れ切っていますから、GKの背後からゲームを見ると言う画像は極めて新鮮で、GKの立場や心情に近づけた感を強く持ちました。
  
トラッキングデータ画像は、ピッチ上の全選手が画像データで表示されて、オフサイドのスペースがメートル表示されたり、GKがゴールラインから離れた距離がメートル表示されたりと、通常放送を見ているだけではわからない距離感が実感できて、これも新鮮でした。
  
又、GKのコーチングしている生の声をマイクで拾っていましたので、ところどころで臨場感のある雰囲気が伝わって来ました。
この様に、画面を観ただけでも、とても新鮮で且つサッカーファンにはたまらない情報満載の画面だったと言えます。
  

元日本代表GKによる丁寧なGKに特化した解説

当日の解説者の小島さんは元日本代表GKで、現在NHKのサッカー解説者のお一人です。GK専用チャンネルの画像を見ながら、元日本代表GKが、通常のゲーム解説とは違って、GKに特化した解説をして下さいました。
  
様々なシチュエーションでのGKの視点や行動心理、予測性等を、GK経験者でなければ語れない経験論で解説頂けたのは、GK専用チャンネルならではの事です。
  
小島さんもNHKのサッカー解説者として、通常のJリーグ放映時の解説では、ゲーム全体の解説をなさる訳ですが、今回に限ってはGKに特化した解説をなさっていましたから、いつにも増して饒舌で、しかも嬉しそうに解説されていたのが印象的でした。
  
Twitterで「小島さん、いつもより解説に熱と力が入ってますね!」と言う視聴者からのつぶやきがあった事からも、小島さん活き活き度がおわかり頂けるかと思います。
  
視聴者のTwitterでのつぶやきが画面にも表示され、それに対してもアナウンサーがしっかり反応されて、解説者に解説を求めるというインタラクティブ性も、このプログラムの成功要因の一つに挙げられると思います。
       

by volante

明らかになったGKの仕事量

通常のサッカー放送の場合、GKがテレビに頻繁に写るのはピンチの場面と言えます。
どちらかと言えばフィールドプレイヤーとボールの位置をカメラは追うので、シュートやCK等の場面以外では、GKの姿が映し出される事は多いとは言えません。
  
ところが今回はGKに特化した画面とデータで画面が構成されたので、通常放送とは逆にフィールドプレイヤーはほとんど映し出されませんでした。自ずとGKの一挙手一投足をつぶさに観る事ができた訳です。
  
サッカーはフィールドプレイヤーが相当な距離を走らなければ成立しないボールゲームという事は多くの皆さんがご存じの事ですが、ほとんどの方がGKはじっとしていると思われていると思います。
  
一般的なイメージでは、GKはペナルティエリアの中のゴールマウスの前に陣取って、ほとんど動いていないと想われがちですが、今回のGK専用チャンネルの放送によって、意外にもGKが相当走行しているという事が顕在化しました。実は1試合で5キロ(自ずと選手とゲームによって差があります)も走行しているのです。
  
しかも画面で表示されたトラッキングデータでも明らかでしたが、自チームが攻撃していても、ボールに合わせて常に立ち位置を変えているのです。
こうした知られざるGKの仕事振りというのが、明らかになったという事も、今回の放送の大きな成果と言えます。
  

護るだけではない現代のGK

小島さんが仰っておられましたが、現役時代は護る事に特化して、ボールを掴んだらすぐに蹴りだせと言われていたそうです。
  
しかし、現代サッカーでは、ボールを保持して時間を費やしたり、GKのキックが起点となってビルドアップしたり、ダイレクトパスによってフィールドプレイヤーが効果的に攻撃できるようにしたりと、GKには護るだけでは無い役割が重要視されています。
  
通常のサッカー放送では余り着目されていないそうしたGKの役割について、今回のGK専門チャンネルでは、実際にゲームで展開されているキックやボール保持についてを実例で解説されたので、多くの視聴者にご理解頂けたのではないでしょうか。
  
現代サッカーでは、GKは護るだけの人ではなく、フィールドプレイヤーの一人としても位置付けられていると言う事がおわかり頂けたのではないでしょうか。
  
多くの視聴者の皆さんがゲーム中にTwitterで、知らなかったGKの仕事の中身を知って感嘆の声をあげておられていました。  

賞賛と課題

  
今回のGK専門チャンネルは成功だったと筆者は思っています。多くの視聴者の皆さんもTwitterで好意的に反応されていました。
特に声が多かったのは、単発で終わらせず継続して欲しいという声でした。
  
ゲームは1対0で浦和レッズが勝利しましたが、ゲーム後には勝敗に関係無く、浦和レッズのGK西川周作選手、FC東京の林彰洋選手双方のインタビューが用意されていた事にも好感が持てました。
  
NHK BSだからこそできる企画ですから、この企画は是非継続して欲しいと筆者も思っています。

一方で課題もありました。
GK背後のカメラの位置取りが気になりました。通常放送のアングルでは無くGK背後からのアングルというのは画期的でしたが、ゴールマウス裏のスタンドからの撮影でしたので、位置取りが高かった印象があります。
  
ゲームを俯瞰する必要性もあるので致し方無いとは思うのですが、できればカメラをもう1台増やして、是非GKの目線からの画像を配信して欲しいと思いました。
  
又、GKのコーチングしている生の声がほとんど聞こえなかったのは残念でした。
浦和レッズ戦という事もあって、サポーターの応援の声量が大きいというも理由ですが、解説している時間が多く、GKの声が殆ど聞きとれませんでした。
  
折角マイクでGKの声を拾っていたのですから、もっとGKの生の声を聴かせて欲しかったと思いました。
  
初の試みでしたので、賛否両論意見が渦巻いていると思いますが、是非とも単発企画に終わらせる事なく、できる限り放送機会を増やして頂きたいものです。
願わくば、GKだけにとどまらず、毎回違うポジション別の専門チャンネルとして放送して頂けると、もっとサッカーの深さをより多くの皆さんにご理解頂けるのではないでしょうか。
     

番組の最後にメインで解説して頂いた小島さんが「GKはボールを触っていない無い時に遊んでいるんじゃないよとわかって頂けただけで満足です。」と仰っていたのが印象的でした。

小島さんが仰る様に、どうしてもパサーやストライカーに多くの目が行ってしまうサッカーですが、縁の下の力持ちの様に、最後方でチームを支えているGKに脚光を当ててくれた、秀悦なJリーグ生中継でした。
GKになりたいと思う少年が増えたのではないでしょうか!今後も継続される事を期待したいですね。

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