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タレント揃いの浦和レッズで16年、いぶし銀のサイドバック平川忠亮選手

扇ガ谷 道房

2017/03/12 21:41

2017/03/13 10:08

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NEWS

プロアスリートの世界は厳しい世界です。弱肉強食の世界であり、怪我との闘いであり、監督との相性の問題であり、年齢と体力の衰えとの闘いでもあります。
全ての条件が重なり合う中で、プロアスリートとして生き永らえるには、実力も運も必要です。
プロサッカーのクラブには、多かれ少なかれ、入団してから一度も移籍をせずに在籍しているベテラン選手が存在しています。

同期や後輩が他チームに去り、引退していく中にあって、何故長年一つのクラブに在籍し続ける事ができるのでしょうか。
16年目のシーズンを迎えた浦和レッズのMF平川忠亮選手(以降、平川選手と記載)にスポットを当てて考察してみましょう。


by jsgoal.jp

同期入団選手の今は如何に

平川選手が浦和レッズに入団したのは2002年の事です。筑波大学卒の大卒選手でした。前年の2001年の浦和レッズは年間10位。リーグ制覇を遂げた事もなく、J2降格からJ1に戻って2シーズン目。現在例年優勝争いをする強豪クラブのイメージはまだ無い時代でした。平川選手の入団した年は、元日本代表監督のハンス・オフト氏を監督に迎えた新体制の年でした。

この年の新人選手は、坪井慶介選手(福岡大)、堀之内聖選手(東京学芸大)、山根伸泉選手(国士舘大)、三上卓哉選手(駒澤大)、小林陽介選手(浦和ユース)、長谷部誠選手(藤枝東高)、東海林彬選手(庄和高)、徳重健太選手(国見高)、南祐三選手(西武台高)と平川選手の合計10名でした。
この10名の内、現在も現役で活躍している選手は、坪井選手(湘南ベルマーレ)、徳重選手(ヴィッセル神戸)、長谷部選手(アイントラハト・フランクフルト)と平川選手の4名だけです。

しかも浦和レッズに在籍しているのは平川選手ただ一人です。冒頭述べた通り、入団したクラブで選手契約を継続する事が如何に難しいかという証明でもあります。
では平川選手は何故浦和レッズに16年間も在籍できているのでしょうか?
考えるべき観点は三つあると思います。
一つは実力。二つ目はプロ意識。三つ目はクラブ愛。筆者はそう考えています。
  

by 浦和レッズオフィシャル  

バランスの良い実力の持ち主

  
実力はあり過ぎても足らな過ぎても、一つのクラブに継続して在籍できないのではないでしょうか。
当然実力無き選手はクラブからは戦力外通告されて、他クラブに移籍させられるか、引退する末路を辿る筈です。

一方で、実力ある選手であるからと言って一つのクラブにとどまれるとも限りません。世界で最も普及しているプロスポーツであるサッカーの場合、実力ある選手は最もレベルと年棒の高いリーグを目指して自ら移籍して行きます。

昨今のヨーロッパリーグでの日本人選手の活躍を見てもそれは明らかです。浦和レッズで言えば、最初に海外クラブに移籍を果たしたのは現在コンサドーレ札幌に在籍している小野伸二選手でした。小野選手は平川選手とは清水商業高校時代の同学年で、高校卒業後に浦和レッズに入団後、オランダリーグのフェイエノールトに移籍し、ドイツブンデスリーガのボーフムにも在籍しました。
そして現在では、ブンデスリーガのアイントラハト・フランクフルトに在籍している長谷部選手、同じくブンデスリーガのヘルタ・ベルリンに在籍している原口元気選手がいます。
又、海外クラブ以外にJリーグの他クラブからの引き抜きという場合もあるでしょう。

この様に考えると、選手生命を維持するには、相対的に高い実力が必要であるのは言うまでも無い事で、加えて同一クラブに残る要件として考えると、バランスの良い実力の持ち主と言えるのではないでしょうか。
年棒も大きな要素になります。選手側から見たコストパフォーマンスが、自らの意思で移籍をするかしないかの判断材料になるのは間違いありません。
この様に考えると、平川選手の場合、浦和レッズのトップチームに在籍するのですから当然実力がある選手でありながら、長年怪我にも泣かされて出場機会が万全では無い中で、平川選手から見た浦和レッズのコストパフォーマンスは高いという結論は一つの理由だと筆者は思っています。
  

by dailyrecord 

プロ意識に起因するポリバレント性

次の観点はプロサッカー選手としての意識の高さという点です。平川選手は右サイドバックが本職ですが、真逆の左サイドバックでも起用されて来ました。
同じサイドバックとはいえ、日本の最高峰サッカーリーグで真逆のポジションをこなす事は、高い技術力が無ければ無し得ません。右左の両足でのキックの高い精度も求められます。

チームというのはシーズンを通じて固定されたメンバーとフォーメンションで戦える訳では無いので、監督は適宜臨機応変にメンバーとフォーメーションの変更を行うものです。
できればポリバレントと呼ばれるどのポジションでもこなせる選手が数名はいて欲しいと考えるものだと言われています。それは相手チームに相対する戦術上の場合もありますし、自分のチームの選手の怪我の有る無しなどにもよります。

しかし、ポジションをチェンジする事ができない選手であれば、臨機応変に起用する事は難しく、そのポジションに限定されてしまいます。
平川選手の場合は、あらゆるポジションをこなせるとまではいかない迄も、両サイドバックやミッドフィールド、更に両ウイングなど、有る程度幅広くポジションをこなせる実力があります。

先ごろブンデスリーガの日本人選手としての最多出場記録を作った元浦和レッズの長谷部選手も同様です。浦和レッズでは中盤を主戦場としていましたが、ドイツに渡ってからは、サイドバックやボランチ、そして現在はセンターバックと複数のポジションをこなしながら出場記録を達成しました。
この様に、出場機会を得る為には、プロ意識を高めて、複数のポジションをこなせる技術と精神を作り上げる事が求められます。平川選手の場合もそのケースに当たります。


by 浦和レッズオフィシャル

浦和レッズを愛しているのです

プロのサッカーリーグは複数のカテゴリーで運営されている国が殆どです。Jリーグでは現在3つのカテゴリーでシーズンが運営されています。勿論浦和レッズはトップカテゴリーのJ1です。
シーズンの結果によっては、自ずと降格するという事も起こります。浦和レッズもその例に違わず、1999年シーズン終了時にJ2に降格を経験して、2000年シーズンをJ2で闘いました。しかし、見事1年でJ1に復帰しその後2006年にJリーグ王者、2007年にはアジアチャンピオンに輝いています。
下位のリーグに降格した場合、主力選手が上部リーグの出場機会と年棒を求めて他クラブに移籍するという事例は多々発生しています。その事も同じクラブに継続して所属できない原因の一つではあります。

しかし、平川選手が入団した年はJ2から昇格2年後の事でしたので、このケースには当たりません。その後Jリーグとアジアチャンピオンリーグのチャンピオンになる浦和レッズの主力選手として活躍をしました。

浦和レッズのサポーターはJリーグきっての熱狂的なサポーターとして知られています。毎試合平均4万人以上の観客動員を誇る埼玉スタジアム2002で、サポーターの熱烈な応援を受けてスタメン出場する経験を積むと、他のクラブで出場したいと思わなくなるのではないかと思うのです。
平川選手は、複数のポジションをこなせて、攻撃と防御のバランスに秀いで、強い精神力も備えている選手です。しかし、怪我に泣かされて来ました。ここ数年は森脇良太選手と槙野智章選手という定位置を獲得した両サイドバックの陰に隠れてしまい、出場機会が減少しています。

しかし、「このチームで優勝したいんだよ。それ以上の思いなんてないよ。たとえ自分が試合に出られなくても、それは同じ。今の俺は浦和のタイトル獲得を心から喜べる。そんなチームに在籍している自分を、誇りに思っている」とコメントを残しています。

これはクラブ愛以外の何物でもありません。入団以来16年間一筋にピッチに立ち続けている浦和レッズが好きで仕方が無いのです。
実力が無ければ戦力外通告される世界。実力があり過ぎると海外に機会を求められる世界。しかし、同じクラブで長年在籍している選手の多くは、平川選手と同じで、自分のクラブを愛している。それが最も大きな理由なのではないでしょうか。

   

by 浦和レッズオフィシャル

多くのサッカークラブで、クラブ一筋に在籍しているベテラン選手が存在しています。
次第に若手に押されて出場機会が減るものの、サポーターの心理には深くその存在が残っています。
平川選手もそういうベテラン選手の一人です。
タレントの多い浦和レッズの一員として、16年間もトップチームに在籍しているのは並大抵の事ではありません。
数少ない機会かもしれませんが、今シーズンの平川選手の出場ゲームを注目して頂けたら幸いです。

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