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バイエルン vs アーセナル 攻撃と守備は切り離された概念ではない

ぱこぱこ・へめす

2017/02/21 20:18

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期待点とパスマップ、ポゼッション開始位置、試合内容と運、鹿島アントラーズvs浦和レッズへのつぶやき

さて、今回で3度目となりますが、日本ではまだ広まっていない試合分析の方法として期待点(ExpG)というものがあります。このバイエルン対アーセナルの試合では、シュート本数は24対7と一方的な展開でした。しかしその全てのシュートが同じ価値を持っているわけではありません。どの位置からどんな状況でシュートを打ったのか、それらの質的データを考慮すればより良い分析をすることができます。この試合では2.65対1.07(0.31とPK1本)という期待点となりました。これを見ると3対1が妥当な結果と言えるでしょう。

しかし、後でも触れますが、アーセナルがゴールを奪ったPKの場面では、ファールを誘ったコシェルニのプレーがアーセナルにとって初めての相手ペナルティーエリア内でのタッチであり、同点ゴール後から前半終了までシュート数が少し増えていますが、バイエルンが一方的に支配していた試合であることは間違いありません。

次にパスマップを見ていくと、特に2つの点が印象的です。まずはバイエルンの右サイドでのパス交換が多く見られることです。ラームとロッベンを中心とした右サイドからの攻撃でアーセナルに迫り、また攻撃のシフトの基準点となるシャビ・アロンソとビダルの丸が大きい、すなわちボールタッチ数が多くなっています。また、バイエルンのDFラインが非常に高く、相手陣内で長い時間プレーできたことが見て取れます。

次に最近新たにできたポゼッション開始位置の図を見てみましょう。アーセナルがディフェンシブサードでポゼッションを開始する割合が多いのに比べて、バイエルンはミドルサードやアタッキングサードでのポゼッションの開始が多いです。これはバイエルンのカウンタープレッシングやDFラインの高い位置に出ての守備がうまく実行できていたことを示しています。

最後に、試合内容と運について図にまとめておきました。バイエルン、レアル・マドリー、PSGと順調に試合内容が良かったチームが勝っていますが、最も純期待点の大きかったドルトムントがベンフィカに敗れています。やはりPK失敗が痛かったと言えます。

なお、フジゼロックススーパーカップの鹿島アントラーズvs浦和レッズの試合の期待点がメインのツイートなので、試合を見た印象と比較してみてもらえればと思います。

バイエルンの支配と、横幅とハーフスペースの役割を担うのは誰だ問題

試合の展開はすぐにピッチ上に現れました。アーセナルが撤退し、バイエルンがボールを保持。サイドバック(アラバとラーム)が高い位置を取り横幅の役割を担い、ウイング(ドウグラス・コスタとロッベン)が自由に動き回ります。

ペップ・グアルディオラ体制ではウイングが横幅を取り、サイドバックはインサイドハーフのように振る舞う「偽サイドバック(ファルソ・ラテラル)」という戦術でビルドアップを行ったりウイングへのパスコースを作る働きをしていましたが、アンチェロッティ体制では、サイドバックはできるだけ高い位置を取り、インサイドハーフ落としなどでビルドアップすることを好んでいます。

そして、サイドバックが高い位置を取りやすいように3バックに変更し、ウイングバックを配置しているチームの代表例がコンテ体制のチェルシーであり、最近のドルトムントであります。ベンフィカ戦でも5‐3‐2と5‐2‐3の中間のようなフォーメーションを使っていましたが、香川真司選手やマリオ・ゲッツェのような10番タイプの選手が出場機会を得られていない状況が続いています。

バイエルン対アーセナルに話を戻すと、10番の位置のチアゴが相手陣内で多くのランニングを見せ、アーセナルのディフェンシブハーフを引きつけてポジションを下がらせました。受動的なアーセナルのディフェンスはライン間を空けないように非常にコンパクトになりました。

これにより、今度はサイドからの攻撃が容易になりました。特にバイエルンは右サイドからの攻撃を嗜好していました。ラームとロッベンが大きな存在感を見せ、ビダルやチアゴがサポートに入り、さらには時々左ウイングのドウグラス・コスタもコンビネーションを見せました。左サイドでは主に、例えば高い位置を取ったアラバなど、サイドチェンジとして使っていました。

受動的なアーセナル、能動的なバイエルンによる縦パスとカウンタープレッシング

これらの変更はバイエルンにとって問題ではなく、結局、アーセナルはそれを妨害する工夫を何もしませんでした。アーセナルはサイドと中盤のどちらにもプレッシングをかけず、代わりに、彼らは非常にフラットな4-5-0-1の形となり、バイエルンがサイドにボールを運んだ時には部分的に9-0-1となりました。

シャビ・アロンソは後方のエリアではほとんどフリーであり、試合のシフトの基準点として機能することができました。フンメルスについても同様で、何度も守備側に邪魔をされずにストライカーのレヴァンドフスキへと縦パスを通し、試合を展開しました。バイエルンのボールポゼッションとアーセナルのアグレッシブさの欠如は、最初の30分にバイエルンが非常に支配的に見えた2つの基礎的なものでした。

3つ目の礎石はカウンタープレッシング(Counter-Pressing)でした。リーグ戦と異なりチャンピオンズリーグでは、バイエルンはボールを失うとすぐに集団的にプレッシングをかけました。特にDFラインは能動的に高い位置に出て行って素早くカウンターアタックの芽を摘みました。また、中盤もこの抑圧に連動しました。試合はもっぱらアーセナルの陣内で行われました。

能動的に変化した同点ゴール後のアーセナル

そして、試合展開の文脈とは何の関係もなく、セットプレーから得たPKで、アーセナルは同点ゴールを決めます。コシェルニがこぼれ球に足を出しレヴァンドフスキのファールを誘いましたが、これはアーセナルにとってバイエルンのペナルティーエリア内でのまさにファーストタッチでした。サンチェスがゴールを決め、チームは能動的なプレッシングにシフトします。

アーセナルは相手陣内で4-4-2でのプレッシングを開始し、DFラインはスペースを埋めるために高い位置を取りました。サンチェスとエジルはバイエルンのセンターバック(フンメルスとハビ・マルティネス)へプレッシングをかけ、バイエルンは自陣からのビルドアップを続けましたが、ハイプレッシングに晒されロングボールでプレッシングを回避するようになり、アーセナルは初めてシャビ・アロンソのルートを切ることができました。

この段階では、試合は少し傾くと思われました。サンチェスは漂流し、常にウイングへ列を降りる動きを見せ、より頻繁にそこでプレーを見せました。従って彼はバイエルンのディフェンダーを引き連れ、DFラインにギャップを生み出しました。

次ページ:後半は再び、バイエルンのボール保持とアーセナルの受動的守備

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